意外と多い?ボルダリングと前十字靭帯(ACL)損傷
ボルダリングの怪我と言えば、指や肘、肩などの上半身に多いイメージですが、最近は膝の靭帯損傷、特に前十字靭帯(ACL)と呼ばれる靭帯を怪我する人がちらほら見かけます。
サッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツに多いとされるACL損傷がなぜ、ボルダリングでも起きてしまうのでしょうか。
その理由と予防法について書こうと思います。
前十字靭帯とは?
上の図で見てわかる通り。太ももの骨と脛の骨を後ろから前へ繋ぐ靭帯です。
役割としては脛の骨が前に飛び出ないように靭帯で引っ張ってくれています。
この靭帯のおかげて膝の曲げ伸ばしが安定してできます。
どういうときに損傷するの?
膝が内側に入り、つま先が外側を向く(Knee in toe out)の状態で強い力を加えることで損傷する可能性があります。
特に膝が伸びている状態(0〜30°)だとリスクが高まりやすいです。
なぜクライミングで損傷するのか?
これはあくまで仮説ですが、マットに膝を伸ばしたまま着地して、そのまま捻ってしまい損傷するのではないかなと思っています。
ジムでは分厚いマットがあり落ちたときのショックを吸収してくれるので頻度は多くないと思いますが、クライミング特有のキョンを決めた姿勢での落下は靭帯にストレスが高く要注意と言えます。
また外岩では外的な要因で損傷しやすいシチュエーションになると思います。
なぜ外岩では危険なのか
もう少し外岩での状況を仮説していきます。
外岩ではマットが薄い、マットが落ちたときにズレやすい、マットの下に岩などがあり不安定、斜面に面している岩を登る。などの外的要因が多い。
メカニズム
↓
- 岩で不安定な姿勢から落下↓
- 膝を伸ばしきって着地↓
- 斜面などでマットがズレる↓
- 膝を捻り損傷⚡️
このようなことが考えられます。
どのような人が怪我しやすいの?
https://clinic.adachikeiyu.com/4677
靭帯損傷は関節が弛緩している人、いわゆる緩い人がなりやすいと言われています。
関節が緩い人は女性に多いことから前十字靭帯損傷も女性の割合が多いのも特徴です。
上の図で4つ当てはまると関節が少し柔らかいと言われています(左右で1点)。
また足や体幹の筋力なども関係します。
しかし、関節が緩いからといって必ず損傷するわけではなく、予防が大切です。
予防するためには
・着地した際に膝を伸ばさない
・つま先から着地する
・膝周りの筋力をつける。特に膝を曲げる力(ハムストリングス)
・外岩ではマットがズレないように配置する。スポッターの位置も考える。
・キョンを深く決めすぎない
完全に予防できるものではありませんが、知っていれば少しは役立つはずです。
もし損傷した場合はどのくらい時間がかかる?
・損傷した場合は平均して1年でスポーツ復帰と言われています。コンタクトスポーツではないのでもう少し早く復帰できそうですが
・損傷してすぐに手術したほうが良いですが、仕事の都合などですぐに治療できない場合は半年以内の治療が推奨されます。あまり長引くと膝関節症などにもなりやすいと言われています。
・手術後はリハビリテーションが重要であり、トレーニングも予防としてとても重要です。
まとめ
・クライミングでも前十字靭帯損傷は起こる
・関節が柔らかい人や女性は注意
・着地時やキョンなどの際は気をつける
・外岩では特に注意が必要
以下の記事も参考にしてみてください。
ボルダリング 怪我の部位別ランキング ー予防のためにー - 鬼軍ちゃんボルダリング!